結論
ノーショー(No Show)とは、ホテルやレストラン、航空便などを予約した客が、キャンセルの連絡をしないまま来ないことです。日本語では「無断キャンセル」「不泊」とも呼ばれます。
ホテルでは、宿泊約款で扱いが決められています。国の示したモデル宿泊約款をもとにした多くの約款では、
- 連絡なく当日の午後8時(到着予定時刻を伝えている場合は、その2時間後)を過ぎても到着しないと、予約を取り消したものとみなすことがある
- 取り消しとみなされた場合は、約款の別表やプランの条件に従って違約金(キャンセル料)がかかり、連絡のない不泊は基本宿泊料の100%とする例が一般的
泊まる側にとって大切なのは、予定が変わったらすぐに取り消し、遅れるときは必ず連絡することです。ホテルの側は、予約時のカード登録(ギャランティ)や事前決済、前日の予約確認でノーショーを減らし、出てしまった分はオーバーブッキングで補う、という組み合わせで対応しています。
はじめに
「ノーショー」は、もともと航空業界やホテル業界で使われてきた言葉ですが、最近は飲食店の無断キャンセルの問題とともに、一般のニュースでも目にするようになりました。経済産業省が2018年に公表した「No show(飲食店における無断キャンセル)対策レポート」では、飲食店の無断キャンセルによる被害額は推計で年間約2,000億円とされています。
ホテルでもノーショーは日常的に起きており、空室による売上の損失だけでなく、その日の客室の販売計画全体に影響します。この記事では、ノーショーの意味と、ホテルでのキャンセル料の扱い、泊まる側が気をつけたいこと、ホテルの側の対策をまとめて解説します。
ノーショーとは:言葉の意味
ノーショー(no-show)は、英語で「現れない人」「来ないこと」を意味します。予約という約束をしたまま、取り消しの連絡もせずに来ない状態を指します。
| 言葉 | 意味 |
|---|---|
| ノーショー | 予約した客が、連絡なく来ないこと |
| キャンセル | 予約した客が、事前に取り消しの連絡をすること |
| レイトキャンセル(直前キャンセル) | 宿泊日の当日や前日など、直前に取り消すこと |
| ゴーショー | 主に航空業界の言葉で、予約なしで当日空港に来て、空席を待って搭乗しようとする客 |
| ウォークイン | ホテルで、予約なしで当日直接来館する客 |
ノーショーとキャンセルの違いは、連絡があるかどうかです。キャンセルの連絡があれば、ホテルはその客室を別の客に販売できますが、ノーショーでは客室が空いたまま夜を迎えるため、売るチャンスそのものが失われます。
ホテルでノーショーはどう扱われる?
「午後8時」で取り消しとみなされることがある
日本のホテル・旅館の多くは、観光庁が示すモデル宿泊約款をもとに、自社の宿泊約款を作っています。モデル宿泊約款をもとにした約款には、次の趣旨の条項があります。
宿泊客が連絡をしないで宿泊日当日の午後8時(あらかじめ到着予定時刻が明示されている場合は、その時刻を2時間経過した時刻)になっても到着しないときは、その宿泊契約は宿泊客により解除されたものとみなし処理することがある。
つまり、到着が遅れることを伝えずに夜になると、客の側から予約を取り消したものとして扱われ、その客室は別の客に販売されることがあります。時刻はホテルによって変えていることもあるため、遅くなりそうなときは、時間に関係なく早めに連絡するのが安全です。
キャンセル料(違約金)
取り消しとみなされた場合や、客の都合で取り消した場合には、約款の別表やプランごとの条件に従って違約金がかかります。一般に、宿泊日に近いほど率が高くなり、連絡のない不泊は基本宿泊料の100%とする例が一般的です。
連泊の予約については、モデル宿泊約款の別表に「契約日数が短縮した場合は、その短縮日数にかかわりなく、1日分(初日)の違約金を収受する」という注記があります。ただし、実際の扱いはホテルの約款や予約したプランの条件によって違います。予約サイトでは、予約時に表示されるキャンセルポリシーが適用されるのが基本です。
なお、モデル宿泊約款をもとにした約款では、申込金を受け取らずに予約を受けた場合、違約金を請求できるのは、予約を受ける際に違約金の支払い義務を客に知らせていたときに限る、という趣旨の定めもあります。予約の確認メールや予約サイトの画面にキャンセル規定が書かれているのは、こうした告知の意味もあります。
キャンセル料はどうやって請求される?
予約時にクレジットカードを登録していれば、そのカードに請求されるのが一般的です。事前決済の予約では、支払った料金が返金されない形になります。現地払いでカードの登録もない予約の場合、ホテルは電話や郵便、メールで請求することになりますが、連絡がつかず回収できないことも多いのが実情です。
ノーショーが起きる主な理由
- 取り消しの連絡を忘れる:予定が変わったのに、予約していたこと自体を忘れてしまう
- 複数のホテルを押さえておく:念のため複数のホテルを予約し、使わなかった方を取り消さない
- 交通機関の遅れや急な事情:遅延や体調不良で、連絡する余裕がないまま時間が過ぎる
- 無料キャンセルの期限切れ:期限を過ぎると取り消しても料金がかかるため、連絡をしないまま放置する
- 悪質な予約:いたずらや、転売を目的とした大量の予約
悪意のないノーショーがほとんどですが、ホテルにとっては、どの理由でも空室が出ることに変わりはありません。
ノーショーがホテルに与える影響
ノーショーの損失は、1件ずつ見ると小さく見えますが、積み重なると大きな金額になります。単純化した例で計算します。
| 前提 | 数値 |
|---|---|
| 客室数 | 100室 |
| 1日の到着予定の予約 | 平均50件 |
| ノーショー率 | 2%(1日あたり1件) |
| 平均の客室単価(ADR) | 1万5,000円 |
1日1室のノーショーが1年続くと、1万5,000円×365日=約548万円の客室売上を、空室のまま失う計算になります。違約金をすべて回収できればこの損失は埋まりますが、カードの登録がない現地払いの予約では回収できないことも多くあります。さらに、満室の日にノーショーが出ると、その客室を求めていた別の客を断っていたことにもなります。
朝食付きのプランなら、用意した食材がむだになり、旅館では夕食の仕込みも失われます。空室の売上だけでなく、準備にかかった費用まで含めて考えると、ホテルにとってノーショーの影響はさらに大きくなります。
ノーショー率の測り方
ノーショーへの対策を考えるには、まず自館の実態を数字でつかむことが出発点です。基本の計算は次のとおりです。
ノーショー率=ノーショーの件数÷その日に到着予定だった予約の件数
全体の平均だけでなく、予約経路別(自社サイト、予約サイトごと、旅行会社、電話)、プラン別(無料キャンセルの可否、事前決済か現地払いか)、曜日・季節別に分けて見ると、どこに対策を打てばよいかが分かります。たとえば、現地払いで無料キャンセルのできるプランだけノーショー率が高いなら、そのプランにカード登録を必須にする、前日の確認を手厚くする、といった手が考えられます。直前のキャンセル率とあわせて記録しておけば、オーバーブッキングで何室多めに受けるかを決める根拠にもなります。
ノーショーにならないために:泊まる側のポイント
- 予定が変わったら、すぐに取り消す:早いほど違約金が安く済むか、かからない。ホテルもその客室を別の客に販売できる
- 到着が遅れるときは、必ず連絡する:電話のほか、予約サイトのメッセージ機能などでも伝えられることがある
- 無料キャンセルの期限を確かめておく:予約確認のメールや予約サイトの画面で、いつまでなら無料か、いつから何%かを確認する
- 使わない予約を残さない:複数のホテルを押さえた場合は、決まった時点で不要な予約を取り消す
- 確認メールを保存しておく:取り消しの完了メールは、あとで請求の行き違いがあったときの証拠になる
ホテルのノーショー対策
ホテルの側では、ノーショーを「減らす」対策と、出てしまったときの「損失を小さくする」対策を組み合わせます。
| 対策 | 中身 | 注意点 |
|---|---|---|
| ギャランティ(予約保証) | 予約時にクレジットカードを登録してもらい、ノーショーの際に違約金を請求できるようにする | カードの有効性を事前に確認しないと、請求できないことがある |
| 事前決済 | 予約時に料金を支払ってもらう | 返金の条件をはっきり示す必要がある |
| 申込金 | 予約時に申込金を払ってもらう | モデル宿泊約款では、宿泊期間(3日を超えるときは3日間)の基本宿泊料が上限 |
| 前日の予約確認 | メールやSMS、電話で到着の予定を確認する | 来ない予約を早めに把握し、再販売できる |
| 到着予定時刻の取得 | 予約時に到着時刻を聞いておく | 遅い到着の客を、誤って取り消し扱いにしないため |
| オーバーブッキング | 過去のノーショーの割合を見て、多めに予約を受ける | 見込みが外れると、別のホテルへの案内(ウォーク)が必要になる |
多めに予約を受ける仕組みとリスクは用語解説 : オーバーブッキングとはで解説しています。チェックイン前後の運用の具体例はホテル現場の負担激減!チェックイン遅延・ノーショー対策SOP、現地決済の予約のリスクについてはホテル現地決済リスクを解消!ノーショー自動化SOPで損失ゼロへも参考になります。
注意点:キャンセル料は高ければよいわけではない
ホテルの側がキャンセル料を決めるときには、法律上の上限にも注意が必要です。消費者契約法第9条では、契約の解除に伴う違約金のうち、その事業者に生じる「平均的な損害」の額を超える部分は無効とされています。宿泊日のずっと前の取り消しに高い率を設定すると、この規定に触れるおそれがあります。
また、台風や大雪で交通機関が止まった場合など、客の責任とはいえない事情で来られなかったときには、違約金を請求しない、または減額するホテルも多くあります。一律に請求すると、口コミや今後の関係に影響することもあります。キャンセル料の設計は、収益だけでなく、客との信頼関係を含めて考えることが大切です。
まとめ
ノーショーは、予約した客が連絡なく来ないことです。モデル宿泊約款をもとにした多くの約款では、連絡なく午後8時(到着予定時刻を伝えている場合はその2時間後)を過ぎると予約を取り消したものとみなすことがあり、連絡のない不泊には基本宿泊料の100%の違約金がかかるのが一般的です。
泊まる側は、予定が変わったらすぐに取り消し、遅れるときは連絡すること。ホテルの側は、カード登録や事前決済、前日の確認でノーショーを減らし、それでも出る分をオーバーブッキングで補うこと。この両方がそろうと、空室も無用なトラブルも減らせます。
関連する用語解説
ホテル業界でよく使われる略語・専門用語はホテル業界用語集で一覧にしています。
よくある質問(FAQ)
Q1. ノーショーとはどういう意味ですか?
予約した客が、キャンセルの連絡をしないまま来ないことです。英語のno-showから来た言葉で、日本語では「無断キャンセル」「不泊」とも言います。
Q2. ホテルをノーショーするとキャンセル料はいくらですか?
ホテルの約款や予約したプランの条件によりますが、連絡のない不泊は基本宿泊料の100%とする例が一般的です。予約サイトで予約した場合は、予約時に表示されたキャンセルポリシーが適用されます。
Q3. ホテルに遅れて着く場合、何時までに連絡すればよいですか?
モデル宿泊約款をもとにした多くの約款では、連絡なく当日の午後8時(到着予定時刻を伝えている場合はその2時間後)を過ぎると、予約を取り消したものとみなされることがあります。遅れると分かった時点で、早めに連絡するのが安全です。
Q4. ノーショーのキャンセル料を払わないとどうなりますか?
登録したクレジットカードに請求されるのが一般的です。カードの登録がない場合も、ホテルから電話や郵便、メールで請求の連絡が来ることがあります。予約サイト経由の予約では、予約サイトのキャンセルポリシーと手続きに従って扱われます。
Q5. 連泊の予約でノーショーした場合、全泊分のキャンセル料がかかりますか?
ホテルやプランによって違います。モデル宿泊約款の別表には、契約日数が短縮した場合は1日分(初日)の違約金を収受するという注記がありますが、予約サイトのプランなどでは別の条件が定められていることもあります。予約時のキャンセル規定を確認してください。
Q6. 台風などで行けなかった場合もノーショー扱いになりますか?
約款上は客の都合による取り消しと同じ扱いになることがありますが、交通機関の運休などやむを得ない事情では、違約金を請求しない、または減額するホテルも多くあります。まずは早めにホテルへ連絡し、事情を伝えてください。
Q7. 「ゴーショー」とは何ですか?
主に航空業界の言葉で、予約なしで当日空港に来て、空席を待って搭乗しようとする客のことです。ホテルで予約なしに当日来館する客は「ウォークイン」と呼びます。


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