宿泊税の免除:修学旅行と部活の合宿、自治体別の基準とフロントの確認手順

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結論

宿泊税の課税免除で、ホテルが迷いやすいのが「学校の団体」です。修学旅行はほとんどの自治体で免除されますが、部活動の合宿やスポーツ大会の宿泊は、自治体によって扱いが正反対です。公式資料で確かめた12自治体は、次の3つの型に分かれます。

  • 修学旅行など学校行事だけ免除:京都市、大阪府、北海道、札幌市、広島県、富士河口湖町(2027年4月から)。札幌市と広島県は、部活の合宿や大会は対象外と明記している
  • 部活動まで免除:宮城県(部活動の合宿も可)、長野県(学校の管理下の部活の合宿も可)、沖縄県(2027年2月から。大会も可)、長崎市(大会への参加に限る)
  • 学校の免除はなく、料金で線を引く:東京都(1人1泊1万円未満は課税されず、2027年4月から1万3千円未満に)、福岡県(課税免除は外国大使等だけ)

どの型でも、免除を受けるには学校長などが作った証明書を宿泊施設が受け取るのが条件です。証明書がなければ、ホテルは宿泊税を預かって申告しなければなりません。団体の予約を受けた時点で、所在地の基準と証明書の様式・期限を伝えておくことが、チェックインの混乱を防ぐいちばんの手です。

はじめに

2026年10月24日、山梨県の富士河口湖町が2027年4月に始める宿泊税について、「修学旅行は免除なのに部活の合宿は課税」と報じられました。総務省の同意(2026年6月30日)の資料でも、同町の課税免除は「修学旅行等の参加者(引率者も含む)」だけです。富士山を望む合宿地として知られる町だけに、受け入れる宿からは戸惑いの声が出ています。

宿泊税を導入する自治体は増え続けていて、同じ「学校の団体」でも、隣の県に行くと扱いが変わります。本記事では、各自治体の条例・手引・案内のページをもとに、免除の範囲を横に並べたうえで、受け入れるホテルの側の確認手順をまとめます。宿泊税の会計処理と消費税は徹底解説:宿泊税の会計処理と消費税で扱っています。

編集部員
編集部員
高校の野球部の合宿の予約が入りました。学校の行事だから、宿泊税はかからないですよね?
編集長
編集長
それが場所しだいなんだ。宮城や長野なら免除になるけど、札幌や広島なら課税。学校の先生も知らないことが多いから、予約の段階でホテルから伝えてあげたほうがいい。

自治体別の免除の範囲(12自治体)

修学旅行と部活動・大会の扱いを並べました。「学校」は、特に断りがない限り、学校教育法第1条の学校(幼稚園・小中高校・特別支援学校・高等専門学校など)を指します。

自治体修学旅行など部活の合宿・大会
札幌市免除(学習指導要領の「旅行・集団宿泊的行事」など)課税(対象外と明記)
北海道免除(学校等が主催する修学旅行等の行事)記載なし
宮城県免除(教育課程内の教育活動)免除(要件を満たす部活動)
東京都個別の免除なし。1万円未満は課税されない同左
長野県免除(大学のゼミ合宿も含む)免除(学校の管理下の課外活動)
富士河口湖町免除(2027年4月から)課税(免除は修学旅行等だけ)
京都市免除(大学を除く学校の学校行事)記載なし
大阪府免除(修学旅行その他学校行事)記載なし
広島県免除(大学を除く学校の学校行事)課税(対象外と明記)
福岡県課税(免除は外国大使等だけ)課税
長崎市免除(学校行事)大会は免除(地域のクラブも含む)
沖縄県免除(2027年2月から)免除(部活動、大会)

「記載なし」は、公式の案内に部活動の扱いが書かれておらず、免除の対象が「学校が主催する修学旅行その他の学校行事」に限られている自治体です。部活の合宿が学校行事に当たるかは判断が分かれうるので、迷ったら所管の税務窓口に確かめてください。

表を読むときの補足

  • 宮城県(2026年1月13日から課税):部活動は「学校長等が設立を承認した団体」「職員が顧問として置かれている」「学校長等が承認した年度の教育活動の計画に基づく」の3つをすべて満たすものに限ります。学校名を冠していても、顧問のいないクラブは対象外です
  • 長野県(2026年6月1日から課税):大学も含めて教育課程に基づく活動(ゼミ合宿など)が免除になり、高校の部活動の合宿のような学校の管理下の課外活動、中学校の部活動の地域展開による認定地域クラブ活動も免除です。松本市・軽井沢町・阿智村・白馬村・野沢温泉村は市町村の宿泊税も同じ扱いになる見込みと案内されています
  • 長崎市:部活動や地域のクラブチームとして「宿泊を伴うスポーツ大会・文化大会に参加する」場合が免除です。大会に出ない練習のための合宿は、この文言には当たりません
  • 沖縄県(2027年2月1日から課税):石垣市・名護市・宮古島市・本部町・恩納村・北谷町も同じ制度です。学校の教育活動は学校長の証明書で足りますが、地域のクラブなどとして大会に参加する場合は、団体代表者の証明書と大会主催者の通知書の両方が要ります
  • 東京都:学校を理由にした免除はなく、1人1泊1万円未満の宿泊は課税されません。2027年4月からは税率3%の定率制(宿泊税の定率制とは)に変わると同時に、この基準が1万3千円未満に上がります。都は、都のアンケートで修学旅行生向けの料金の7割以上が免除になる見込みだとしています
  • 福岡県:県の特別徴収事務の手引(2026年2月作成)で課税免除として挙がっているのは、外国大使等の任務遂行に伴う宿泊だけです

このほか、鹿児島市は修学旅行を免除し部活動やスポーツ大会は対象外とする案を、千葉県は部活動の宿泊も免除する案を、それぞれ2026年に示したと報じられています。導入前の自治体は、条例と規則が固まった段階で改めて確かめてください。

引率者・添乗員・保護者はどうなるか

団体の受け入れで次に迷うのが、生徒以外の同行者です。案内に書いてある自治体の扱いは、おおむね共通しています。

同行者扱い
教員引率者として免除(各自治体共通)
看護師等介助が必要な生徒に付き添う看護師や保護者は、引率者として免除(札幌市・宮城県・広島県)
監督等部活動が免除になる自治体では、監督・コーチ・マネージャーなども免除(宮城県・沖縄県)
添乗員課税。旅行会社の添乗員・カメラマンは引率者に当たらない(札幌市・宮城県・沖縄県)
運転手等課税。バスの運転手・ガイドは対象外(沖縄県)
保護者課税。応援に来た保護者、審判は対象外(宮城県・沖縄県)

修学旅行の団体でも、添乗員とカメラマン、バスの乗務員の分は課税になるのが普通です。旅行会社経由の団体では、同じ部屋割りの名簿に混ざっていることが多いので、証明書の人数と名簿を突き合わせて分けておきます。

フロントと予約の確認手順

宿泊税の免除は、ホテルが勝手に判断するものではなく、証明書の有無で決まります。沖縄県の案内は「宿泊施設側では、課税免除の判断を証明書及び通知書の有無で行います」と明記しています。次の順で進めると、取りこぼしと払い過ぎの両方を防げます。

  1. 予約の段階で区分を聞く
    団体の予約を受けたら、学校行事か、部活動の合宿か、大会への参加か、学校とは関係のないクラブか、を確かめます。所在地の自治体の基準で、免除の対象になりうるかをこの時点で伝えます
  2. 証明書の様式と期限を案内する
    自治体の様式のダウンロード先と提出期限を、見積書や予約確認書に書いておきます。期限は自治体ごとに違い、広島県は「宿泊日の前日まで」、沖縄県は「チェックイン時点まで」、宮城県は「原則チェックアウトまで(取り決めで後日も可)」です。北海道は必要事項が書かれていれば任意の様式でよく、宮城県は押印も署名も不要です
  3. 見積もりに宿泊税を分けて書く
    「証明書をご提出いただけない場合は、宿泊税○円(1人1泊)を別途申し受けます」と明記します。免除になる前提で総額を出しておくと、証明書が出なかったときに請求しにくくなります
  4. 受け取った証明書と名簿を照合する
    宿泊日、人数、引率者の数が実際と合っているかを確かめ、添乗員や運転手など課税になる人を分けます。証明書の人数より実際の生徒が少ない場合は、実際の人数で免除します
  5. 証明書を保存し、申告で区分する
    大阪府は、受け取った証明書を宿泊税の帳簿と同様に保存するよう求めています。毎月の申告では、課税対象と課税免除の泊数を分けて記載します

宿泊料金が自治体の免税点を下回るなら、そもそも宿泊税はかからず、証明書も要りません。大阪府は1人1泊5,000円未満、長野県は6,000円未満の宿泊について、証明書の作成・提出は不要としています(いずれも素泊まり・税抜きの料金で判断)。

編集部員
編集部員
先生が証明書を忘れてきたら、どうすればいいですか?
編集長
編集長
原則はその場で宿泊税を預かること。宮城県のように、学校と取り決めて後日の提出を認める自治体もあるけど、出てこなければ宿泊税をもらう必要がある。どちらにするかは、前もって学校と決めておこう。

2つの宿泊税がかかる地域の注意点

札幌市(北海道と札幌市)、仙台市(宮城県と仙台市)、長野県の5市町村のように、県と市町村の両方が宿泊税を課す地域があります。免除の要件は条例ごとに決まるので、県税と市町村税で扱いが違うことがありえます。証明書の様式も、それぞれの自治体のものが要る場合があります。北海道の中でも、札幌市は部活の合宿や大会を対象外と明記しています。合算した税額を申告する地域でも、免除の判断は条例ごとに確かめてください。

合宿や大会の多い地域では、宿泊税の扱いが団体の宿選びに影響することもあります。1人1泊200円でも、40人で5泊すれば4万円です。札幌のように大型の大会や公演で需要が集中する時期の予約ルールは札幌のホテルはなぜ高い?公演が集まる秋の予約ルールでも扱いました。

まとめ

  • 修学旅行は多くの自治体で免除。ただし東京都は料金の基準だけで、福岡県は学校の免除がない
  • 部活動の合宿は、宮城県・長野県・沖縄県では免除、札幌市・広島県・富士河口湖町では課税。長崎市は大会への参加なら免除
  • 引率の教員は免除、添乗員・カメラマン・運転手・応援の保護者は課税になるのが普通
  • 免除は証明書の有無で決まる。予約の段階で区分を聞き、様式と期限を伝え、見積もりに宿泊税を分けて書く
  • 県と市町村の両方が課税する地域では、それぞれの条例の要件を確かめる

よくある質問(FAQ)

Q1. 修学旅行なら、どこでも宿泊税はかかりませんか?

多くの自治体で免除されますが、全国共通ではありません。東京都は学校を理由にした免除がなく、1人1泊1万円未満(2027年4月から1万3千円未満)の宿泊が課税されない仕組みです。福岡県は課税免除が外国大使等に限られます。どの自治体でも、免除には学校長などの証明書が必要です。

Q2. 部活動の合宿に宿泊税はかかりますか?

自治体によります。宮城県・長野県・沖縄県は要件を満たす部活動の宿泊を免除しますが、札幌市・広島県は対象外と明記しており、富士河口湖町も免除は修学旅行等に限られます。長崎市は、大会に参加する場合に免除します。

Q3. 大学のゼミ合宿やサークルの合宿は免除されますか?

多くの自治体は免除の対象から大学を除いています(京都市、広島県など)。長野県は、大学も含めて教育課程に基づく教育活動・研究活動(ゼミ合宿など)を免除の対象にしています。サークル活動は、どの自治体でも対象として挙がっていません。

Q4. 添乗員やカメラマンも免除になりますか?

なりません。札幌市・宮城県・沖縄県は、旅行会社の添乗員とカメラマンが引率者に当たらないことを明記しています。沖縄県は、バスの運転手やガイド、応援の保護者、審判も対象外としています。

Q5. 証明書の提出がなかった場合、ホテルはどうすればよいですか?

宿泊税を預かって申告します。免除の判断は証明書の有無で行うのが原則です。後日の提出を認めるかどうかは自治体によって違い、宮城県は学校と宿泊施設の取り決めで後日提出も可としつつ、提出がなければ宿泊税を支払う必要があるとしています。

Q6. 免除になった宿泊は、申告でどう扱いますか?

毎月の申告で、課税対象の泊数とは別に課税免除の泊数を記載し、受け取った証明書は帳簿と一緒に保存します。様式は自治体ごとに違うので、所在地の自治体の手引を確認してください。

出典:札幌市「札幌市宿泊税の課税免除」、北海道「北海道宿泊税」、宮城県「宿泊税」(2026年4月1日掲載)、長野県「宿泊税に関するお知らせ 教育関係の皆様へ」、京都市「宿泊税について」、大阪府「修学旅行生等に対する宿泊税の課税免除の手続」(2026年3月25日更新)、広島県「宿泊税の課税免除に関する手続(修学旅行等)」、長崎市「宿泊税の課税免除」、沖縄県「沖縄県宿泊税に関するお知らせ(教育関係者の皆様へ)」、福岡県「宿泊税 特別徴収事務の手引」、東京都主税局「宿泊税の見直しについて」、総務省「山梨県富士河口湖町『宿泊税』の新設」(2026年6月30日)、TBS NEWS DIG(2026年10月24日)、南日本新聞(2026年6月5日)、千葉日報(2026年6月17日)

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