結論
ハリウッドツイン(Hollywood Twin)とは、シングルサイズ(またはセミダブルサイズ)のベッド2台をすき間なくくっつけて並べたツインルームのことです。見た目は大きなダブルベッドのようですが、マットレスと掛け布団は1人ずつ分かれています。「ハリウッドスタイル」「ハリウッドツインルーム」とも呼ばれます。
ゲストにとっては「広いベッドで一緒に寝られる」「寝返りの振動が伝わりにくい」のが利点です。ホテルにとっては、ベッドを離せば通常のツイン、くっつければダブル風と、同じ部屋を2つの客室タイプとして売り分けられる柔軟性が最大の価値です。ただし、予約サイトでの表記があいまいだと「ダブルだと思ったのに2台だった」というクレームにつながります。
はじめに
ホテルの客室タイプは、シングル、セミダブル、ダブル、ツイン、トリプルなど、ベッドの数と大きさで分かれています。そのなかでハリウッドツインは、ツインとダブルの中間にあたる少し特殊な形です。
名前の由来には諸説ありますが、アメリカ・ハリウッドのホテルで広まった配置だという説や、ハリウッドの女優がベッド2台をくっつけてほしいと頼んだという逸話が紹介されています(参考:ホテリスタ「ハリウッドツインとは」、TIMELESS Hotels & Travel)。本記事では、定義と他の客室タイプとの違いに加えて、ホテルの運営側から見たハリウッドツインの使い方と注意点を整理します。
ハリウッドツインと他の客室タイプの違い
| 客室タイプ | ベッドの数と配置 | 向いている利用者 | 運営上の特徴 |
|---|---|---|---|
| ダブル | 2人用のベッド1台 | カップル、1人でゆったり使いたい人 | ツインより狭い部屋でも設置できる。2人利用だと寝返りの振動が伝わる |
| ツイン | 1人用のベッド2台を離して配置 | 友人、同僚、親子など | 2人がそれぞれ寝られるため、客層を選ばない。部屋の面積はダブルより必要 |
| ハリウッドツイン | 1人用のベッド2台をくっつけて配置 | カップル、小さな子ども連れの家族 | ベッドを離せばツインに戻せる。すき間の処理と、予約時の表記に工夫が必要 |
| トリプル | ベッド3台(またはツイン+エキストラベッド) | 3人のグループ、家族 | エキストラベッドで対応する場合、実際の広さとのバランスに注意 |
ツインとダブルの違いは、ビジネスホテルの公式ブログなどでも繰り返し解説されるほど、ゲストの関心が高い部分です(参考:リッチモンドホテルプレミア武蔵小杉「ダブル・ツインの違い」)。ハリウッドツインは、その両方の良さを取ろうとした配置と言えます。
ベッドのサイズの目安
ハリウッドツインの寝心地は、どのサイズのベッドを2台並べるかで大きく変わります。国内で一般的に使われるベッドの幅の目安は次のとおりです。ホテルでは独自のサイズを使うことも多く、メーカーや施設によって数cmの差があります。
| ベッドの種類 | 幅の目安 | 2台並べたときの幅 | 比較 |
|---|---|---|---|
| シングル | 約97〜110cm | 約194〜220cm | キングサイズ(約180cm)より広い |
| セミダブル | 約120cm | 約240cm | ファミリー向けの大型ベッド並み |
| ダブル(参考) | 約140cm | — | 2人で寝ると1人あたり約70cm |
| クイーン(参考) | 約160cm | — | 2人で寝ると1人あたり約80cm |
| キング(参考) | 約180cm | — | 2人で寝ると1人あたり約90cm |
シングル2台のハリウッドツインでも、2人で寝たときの1人あたりの幅は約100cm前後になり、ダブル(1人あたり約70cm)よりかなり広くなります。「ダブルは狭いが、離れたツインでは寂しい」という需要に応えられるのが、ハリウッドツインが選ばれる理由です。
運営側から見たハリウッドツインの3つの価値
1. 同じ部屋を2通りに売れる
最大の価値は柔軟性です。ツインとして販売していた部屋でも、カップルや家族の予約が入ればベッドを寄せてハリウッドツインとして提供できます。ダブルの部屋が満室でも、ツインの部屋を「ベッドをくっつけたダブル風」として案内できれば、取りこぼしを減らせます。客室タイプごとの在庫の偏りを吸収する手段として使えるのです。
2. 家族連れのニーズに応えやすい
小さな子どもと一緒に寝る家族にとって、ベッドの間にすき間がないことは転落防止の点でも安心材料になります。2台分の横幅があるため、大人2人と添い寝の子どもでも窮屈になりにくい配置です。グループや家族の単価を上げる客室の工夫はなぜ2026年、ホテルは「二段ベッド」でグループ単価を倍増させるのか?でも取り上げています。
3. 客室構成の見直しに使える
ツインの需要が減り、ダブルの需要が増えている、あるいはその逆という変化は、立地や客層によって起こります。部屋を改装してベッドを入れ替えなくても、配置を変えるだけで売り方を変えられるのは、ハリウッドツインの強みです。ツイン中心の客室構成を見直す議論は2026年の都市型ホテルは「ツイン廃止」で高収益化できるのか?で扱っています。
運営上の注意点
ベッドの間のすき間
2台のベッドの間には、どうしてもすき間や段差が生まれます。ゲストが真ん中に寝ると落ち込みを感じたり、枕や小物が落ちたりします。対策としては、ベッドの脚を連結する金具、すき間を埋めるパッド(ブリッジパッド)、2台を覆う大きなベッドパッドなどがあります。
ベッドを動かす手間
ツインとハリウッドツインを切り替えるには、ベッドを動かす必要があります。清掃スタッフの負担が増え、床や壁を傷つける原因にもなります。キャスター付きのベッドや、ロック機能付きの脚を選ぶと作業が楽になります。ベッドメイクの効率化は2026年、ホテル清掃はヒト型ロボットに!ベッドメイキングを4分で終わらせるでも取り上げています。
予約時の表記とクレーム
最も気をつけたいのが表記です。予約サイトで「ダブル」「ダブルベッド」と書いてハリウッドツインを提供すると、「1台の大きなベッドだと思っていた」という不満につながります。逆に「ツイン」と書いてあるのにベッドがくっついていると、友人や同僚どうしの利用者は困ります。
- 客室名や説明文に「シングルベッド2台をくっつけて配置」と具体的に書く
- ベッドの幅(例:110cm×2台)を記載する
- 写真で配置が分かるようにする
- 「ご希望によりベッドを離してご用意できます」など、切り替えの可否を明記する
予約システムでの在庫管理の考え方
ハリウッドツインを柔軟に使うには、予約システム(PMS)や予約サイトでの在庫の持ち方を整理しておく必要があります。代表的な方法は次の2つです。
| 方法 | やり方 | 向いているホテル | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 客室タイプを分ける | 「ツイン」と「ハリウッドツイン」を別の客室タイプとして登録し、それぞれに在庫を割り当てる | 配置を固定している部屋が多いホテル | 一方が満室でも、もう一方の在庫を自動では回せない。切り替えは手作業で在庫を移す |
| ベッドの希望として受ける | 客室タイプは「ツイン」1つにまとめ、予約時に「ベッドをくっつける/離す」の希望を受ける | ベッドを動かしやすく、切り替えの手順が整っているホテル | 希望を「確約」にするか「リクエスト(できる限り対応)」にするかを明記しないとクレームになる |
どちらの方法でも、予約の情報がフロントから客室清掃へ確実に届くことが前提です。前日の夕方に翌日の到着者の配置希望を一覧にして清掃に渡す、清掃完了の報告時に配置も確認する、といった手順を決めておくと、到着してから「ベッドが離れていた」という事態を防げます。
予約サイトでの表記例
表記の良し悪しで、到着時の満足度は大きく変わります。
| 表記 | 評価 | 理由 |
|---|---|---|
| 「ダブルルーム」 | 避けたい | 1台の大きなベッドを想像させる。ハリウッドツインを提供すると期待と食い違う |
| 「ツインルーム」 | 不十分 | ベッドがくっついていることが伝わらない。友人どうしの利用者が困る |
| 「ハリウッドツイン」 | 不十分 | 言葉の意味を知らない利用者や訪日客には伝わらない |
| 「ハリウッドツイン(幅110cmのベッド2台をくっつけて配置。ご希望により離してご用意可)」 | 望ましい | ベッドの台数・幅・配置・切り替えの可否がすべて分かる |
訪日客向けの英語表記では、「Hollywood Twin」だけでなく「Two single beds placed together」のように配置を説明する表現を添えると誤解を減らせます。
デメリット・リスク
- 「ダブルのつもり」によるクレーム:表記があいまいだと、口コミで「思っていたのと違った」と書かれやすい
- すき間の不快感:対策をしないと、真ん中で寝る人や子どもが寝心地の悪さを感じる
- 清掃の負担:配置の切り替えが多いと、清掃の時間が延び、ベッドや床の傷みも早まる
- 在庫管理の複雑化:同じ部屋を2つの客室タイプとして販売すると、予約システム(PMS)での在庫管理と、当日の配置の指示が複雑になる
ゲストがハリウッドツインを選ぶときのポイント
ゲストの立場で予約する場合は、次の点を確認すると失敗しにくくなります。
- ベッドの幅:シングル2台(1台あたり100cm前後)なのか、セミダブル2台(1台あたり120cm前後)なのかで、ゆとりが大きく変わる
- すき間の対策:写真や説明で、2台を覆うベッドパッドがあるかを確認する
- 切り替えの可否:離して使いたい場合は、事前にホテルに依頼できるか確認する
- 添い寝の条件:子どもの添い寝が何歳まで無料か、ハリウッドツインで添い寝できるかを確認する
まとめ
ハリウッドツインは、1人用のベッド2台をくっつけて並べたツインルームです。ゲストにとっては広さと寝心地の両立、ホテルにとってはツインとダブル風を売り分けられる柔軟性が魅力です。一方で、すき間の処理、ベッドを動かす手間、予約時の表記のあいまいさがクレームの火種になります。ベッドの幅と配置を具体的に表記し、切り替える部屋の数と手順を決めておくことが、ハリウッドツインを強みに変える条件です。
関連する用語解説
ホテル業界でよく使われる略語・専門用語はホテル業界用語集で一覧にしています。
よくある質問(FAQ)
Q1. ハリウッドツインは2人で泊まると料金はダブルと同じですか?
ホテルによって異なります。ツインと同じ料金にしているホテルもあれば、ダブルとツインの中間の料金にしているホテルもあります。予約時に客室タイプと料金を確認してください。
Q2. ハリウッドツインのベッドを離してもらうことはできますか?
多くのホテルでは可能ですが、ベッドの重さや部屋の広さによっては対応できない場合があります。希望がある場合は予約時か到着前に伝えておくと確実です。
Q3. 「ハリウッドツイン」と「ダブル」は予約サイトで同じ扱いですか?
予約サイトによって分類が異なります。ハリウッドツインが「ツイン」に分類されることもあれば、「ダブル」に近い扱いで表示されることもあります。客室の説明文と写真で、ベッドの台数を確認するのが確実です。
Q4. ホテル側はどんな場合にハリウッドツインを導入すべきですか?
カップルや家族連れの比率が高いのにダブルの部屋が少ない場合や、ツインの稼働が低くダブルの需要が高い場合に向いています。まずは数室で試し、口コミや予約の傾向を見てから広げるのが安全です。
Q5. 「デラックスツイン」「スーペリアツイン」とは何が違いますか?
「デラックス」「スーペリア」は部屋の広さや眺望、設備のグレードを表す言葉で、ベッドの配置とは別の区分です。デラックスツインがハリウッドツインの配置になっていることもあるため、説明文で配置を確認してください。


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