ホテル赤字でも特定技能は可能!審査を通す5ステップ

宿泊業での人材育成とキャリアパス
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  1. 結論
  2. はじめに:赤字・債務超過のホテルは「特定技能」を諦めるべき?
  3. なぜ赤字だと特定技能の審査が厳しくなるの?
    1. 出入国在留管理庁が求める「受け入れ企業の財務健全性」とは?
    2. 債務超過でも審査を通過させる「企業評価書」とは何か?
  4. 赤字・債務超過から特定技能の受け入れを成功させる5つのステップ
    1. ステップ1:顧問税理士・中小企業診断士との連携体制の構築
    2. ステップ2:中小企業庁認定機関等による「企業評価書」の作成依頼
    3. ステップ3:事業再生計画・財務改善ロードマップの策定
    4. ステップ4:出入国在留管理庁への合理的な「理由書」の添付
    5. ステップ5:特定技能外国人の生活・業務を支える受入体制の整備
  5. 【比較表】通常申請と「企業評価書」を伴う赤字・債務超過時の申請の違い
  6. 特定技能の受け入れ基準:自社は申請可能?Yes/No診断チャート
  7. 総務人気が直面する「申請コスト」と「定着リスク」の現実
    1. 1. 申請手続きと企業評価書作成にかかる「追加コスト」
    2. 2. 現場の受け入れ態勢と「早期離職」の失敗リスク
  8. よくある質問(FAQ)
    1. Q1:2期連続で大赤字なのですが、それでも特定技能の申請は通りますか?
    2. Q2:企業評価書は自社の総務人事や財務担当者が自分で作成することはできますか?
    3. Q3:税金や社会保険料を分納(分割払い)している状態ですが、申請に影響はありますか?
    4. Q4:債務超過のホテルが特定技能を雇用する場合、最低賃金より低い給与を設定することはできますか?
    5. Q5:企業評価書を作成する費用はどのくらいかかりますか?
    6. Q6:観光庁の予算要求で、特定技能に関わるような補助金やサポート制度はありますか?
    7. Q7:特定技能外国人が「赤字の会社だから不安だ」と途中で辞めてしまうことはありませんか?

結論

直近の決算が赤字、または債務超過に陥っているホテル・旅館であっても、特定技能の外国人材を受け入れることは可能です。ただし、出入国在留管理庁の審査を通過するためには、中小企業庁認定の「経営革新等支援機関」や税理士などの専門家が作成した「企業評価書(または改善見込みに関する技術的意見書)」および具体的な「事業再生計画・財務改善ロードマップ」を申請時に提出し、企業の継続性と雇用の安定性を論理的に証明する必要があります。

はじめに:赤字・債務超過のホテルは「特定技能」を諦めるべき?

観光需要が急速に回復する2026年現在、ホテル業界は深刻な人手不足に直面しています。観光庁が発表した令和9年度(2027年度)予算要求でも、「観光地・観光産業における人材育成等推進事業」を含む「観光地・観光産業の強靱化」に11億8700万円(前年度比1.63倍)が要求されるなど、宿泊分野の人材確保は国を挙げた最重要課題となっています。

しかし、現場の総務人事部門からは「人手が足りないから特定技能を雇用したいけれど、直近の決算が赤字で債務超過。これでは入管の審査に落ちてしまうのではないか」という切実な相談が相次いでいます。物価高騰や最低賃金の上昇、過去のコロナ禍による借入金の返済負担が重くのしかかり、財務状況が芳しくないホテルや旅館は少なくありません。結論から言えば、赤字や債務超過であっても、適切なプロセスと書類を準備すれば特定技能の受け入れは可能です。諦めて採用を縮小する必要はありません。

編集部員

編集部員

編集長、うちのホテルも直近2期連続で赤字なんです。特定技能の在留資格申請って、会社の経営状態が悪いと一発で不許可になるって本当ですか?

編集長

編集長

確かに、何の対策もせず通常通り申請すれば、不許可になるリスクは非常に高いよ。入管は「外国人材を安定して雇い、給与を払い続けられるか」を重視するからね。でも、専門家の力を借りて『企業評価書』などの証明書を添えれば、審査を通す道はしっかりと用意されているんだ。

なぜ赤字だと特定技能の審査が厳しくなるの?

出入国在留管理庁が求める「受け入れ企業の財務健全性」とは?

出入国在留管理庁(以下、入管)が特定技能の在留資格認定において、企業の財務状況を厳しく審査する最大の理由は、「雇用契約の継続性」と「労働条件の確実な履行」の確保です。もし受け入れ企業がすぐに倒産してしまったり、経営難を理由に給与未払いが発生したりすれば、日本にやってきた外国人材の生活が脅かされてしまいます。

そのため入管のガイドラインでは、受け入れ企業の「売上高」「営業利益」「純利益」「自己資本比率」などがチェックされます。特に「債務超過(資産よりも負債が多い状態)」である場合は、原則として「事業の継続性に懸念がある」とみなされ、そのままでは在留資格の許可が下りにくい構造になっています。

債務超過でも審査を通過させる「企業評価書」とは何か?

では、赤字や債務超過のホテルが特定技能を雇用するにはどうすればよいのでしょうか。ここで重要になるのが、専門家が第三者の視点から作成する「企業評価書」です。

これは、中小企業庁が認定する「経営革新等支援機関」(税理士、公認会計士、中小企業診断士、地方銀行など)が、対象企業の財務状況を詳細に分析し、「現在は一時的な赤字・債務超過であるが、今後の事業再生計画・改善ロードマップにより、概ね3〜5年以内に経営状態が改善し、事業の継続性が認められる」と技術的に評価・証明した専門書類です。

実際、特定技能の申請実務を支援する専門コンサルタント等の発表によると、決算書が債務超過であっても、この「企業評価書」を適切に作成し、入管へ添付して提出することで、問題なく特定技能の在留資格が許可される事例が多数確認されています。

赤字・債務超過から特定技能の受け入れを成功させる5つのステップ

ホテルの総務人事が、財務状況の不安を乗り越えて特定技能外国人を受け入れるための、具体的な実務手順(SOP)を以下に示します。

ステップ1:顧問税理士・中小企業診断士との連携体制の構築

まずは自社の財務状態を正確に把握するため、顧問税理士や財務コンサルタントに特定技能の受け入れを検討している旨を相談します。単に「外国人向けのビザを申請する」と伝えるだけでは伝わらないことが多いため、「債務超過企業が特定技能を申請するにあたり、税理士による技術的意見書や企業評価書が必要になる」という具体的な実務内容を提示して連携を依頼します。

ステップ2:中小企業庁認定機関等による「企業評価書」の作成依頼

企業評価書を作成できるのは、中小企業庁に認定された「経営革新等支援機関」などに限られます。もし現在の顧問税理士がこの認定を受けていない場合は、認定を受けている別の税理士や中小企業診断士、あるいは特定技能の支援実績が豊富な行政書士等と連携し、スポットで作成を依頼する必要があります。

ステップ3:事業再生計画・財務改善ロードマップの策定

企業評価書を裏付けるための「事業計画書(財務改善ロードマップ)」を策定します。これには、以下の要素を盛り込む必要があります。

  • 現状の赤字・債務超過の要因分析:(例:コロナ禍における借入金の返済開始、客室改修に伴う一時的な休館など、一過性の要因であることを示す)
  • 今後の売上・利益改善策:(例:インバウンド向け高単価客室へのシフト、DX導入による業務効率化、ADR(客室平均単価)の推移予測)
  • 特定技能人材の活用プラン:(例:人員不足の解消により、客室稼働率を現状の60%から80%へ引き上げ、年間〇千万円の売上増を見込む)

ステップ4:出入国在留管理庁への合理的な「理由書」の添付

申請時には、税理士が作成した「企業評価書」に加えて、ホテル側としての「特定技能雇用に関する理由書(申立書)」を添付します。ここでは、「なぜ特定技能の人材が必要なのか」「この人材が加わることで、ホテルのオペレーションと収益性がどう改善されるのか」を熱意と数値的根拠をもって論理的に記述します。

ステップ5:特定技能外国人の生活・業務を支える受入体制の整備

無事ビザが許可された後、最も重要なのは「早期離職を防ぐこと」です。特定技能外国人の定着には、現場のオペレーションを標準化し、無理なく働ける環境を整える必要があります。総務人事必見の具体的な育成方法については、以下の記事も非常に参考になります。

【次に読むべき推奨記事】
ホテル総務人事必見!中途・外国人材を10日で即戦力化するSOP

【比較表】通常申請と「企業評価書」を伴う赤字・債務超過時の申請の違い

財務が健全な企業と、赤字・債務超過にある企業での特定技能申請におけるプロセスや必要書類、難易度の違いを表にまとめました。

比較項目 財務健全なホテルの場合(通常申請) 赤字・債務超過のホテルの場合
提出する主な決算書類 直近1期分の決算書(貸借対照表、損益計算書) 直近1〜2期分の決算書 + 企業評価書
財務改善の事業計画書 原則不要(通常の事業計画のみ) 必須(3〜5年での黒字化・債務超過解消ロードマップ)
外部の専門家との連携 不要(自社または登録支援機関で完結可能) 必須(経営革新等支援機関、税理士等との連携)
審査にかかる期間(目安) 約1ヶ月〜2ヶ月 約2ヶ月〜3ヶ月(追加の質問や資料提出が発生しやすいため)
在留資格の許可率 非常に高い(書類に不備がなければ原則許可) 事前対策なし:極めて低い
適切な「企業評価書」あり:高い

特定技能の受け入れ基準:自社は申請可能?Yes/No診断チャート

自社が赤字・債務超過であったとしても、特定技能の申請を進められる状態にあるかどうかを判断するための簡易チェックフローです。

  • 質問1:直近の決算は赤字(純損失)ですか?
    • Noの場合: 次の質問2へ進んでください。
    • Yesの場合: 直近2期以上の連続赤字ですか?
      • No(1期のみ): 適切な「理由書」でカバーできる可能性が高いです。
      • Yes: 経営革新等支援機関による「企業評価書」の作成が必要になります。次の質問2へ進んでください。
  • 質問2:債務超過(貸借対照表の純資産がマイナス)ですか?
    • Noの場合: 通常通りの手続きで申請可能です。
    • Yesの場合: 「企業評価書」および「財務改善計画書」の作成が必須です。顧問税理士や行政書士に早急に相談してください。
  • 質問3:過去に「税金(法人税・消費税等)や社会保険料」の滞納はありますか?
    • Noの場合: 申請の資格があります。
    • Yesの場合: 【注意】どれだけ企業評価書が優れていても、税金や社会保険の滞納がある状態では入管の審査は通りません。申請前にすべての滞納を解消し、完納証明書を取得する必要があります。
編集部員

編集部員

なるほど!赤字や債務超過そのものよりも、税金や社会保険の滞納がないことや、これからの改善計画をちゃんと専門家に証明してもらうことが大切なんですね!

編集長

編集長

その通り。入管は『過去の数字』だけで一律に拒否するわけではない。これからのホテル運営で『どのように生産性を上げ、彼らを雇い続けるのか』という未来のストーリーに筋が通っているかを見ているんだよ。

総務人気が直面する「申請コスト」と「定着リスク」の現実

特定技能の受け入れは、財務難のホテルにとって人手不足を解消する強力な選択肢ですが、メリットばかりではありません。導入に伴う「コスト」「運用負荷」「失敗のリスク」といったデメリットや課題についても、客観的に理解しておく必要があります。

1. 申請手続きと企業評価書作成にかかる「追加コスト」

財務が健全な通常の特定技能申請に比べ、赤字や債務超過の企業は、「企業評価書」の作成費用が追加で発生します。経営革新等支援機関(税理士や中小企業診断士など)への作成報酬として、一般的に10万円〜30万円程度の追加費用が必要になります。さらに、書類作成にかかる時間や、入管からの「質問書(追加資料提出要求)」へ対応する行政書士の手間も増えるため、採用までに要するトータルの時間的・金銭的コストは通常よりも高くなります。

2. 現場の受け入れ態勢と「早期離職」の失敗リスク

特定技能の外国人材は、技能実習生とは異なり、「同一職種であれば自由に転職ができる」という法的な権利を持っています。せっかく多額のコストと手間をかけてビザを取得し、赤字経営の中で雇用したとしても、ホテルの現場オペレーションが乱雑で労働環境が悪い、あるいは育成の仕組みが整っていない場合、数ヶ月で他社のホテルへ転職されてしまう「早期離職リスク」が極めて高いです。

21世紀マンパワー事業協同組合が2026年9月に発表した「外国人材に求める要素は業界ごとに異なる」消費者意識調査でも示されている通り、サービス業である宿泊現場において外国人材が力を発揮するためには、単なる労働力として扱うのではなく、彼らの生活やモチベーションを支える組織風土が求められます。

特に特定技能の定着と離職防止のノウハウについては、あらかじめ以下の記事を読み、体制を整えておくことを強く推奨します。

【前提理解に必須の記事】
なぜ今、ホテルはインド人材を選ぶ?現場が疲弊しない特定技能の定着術

よくある質問(FAQ)

Q1:2期連続で大赤字なのですが、それでも特定技能の申請は通りますか?

A1:はい、十分に可能です。2期連続の赤字であっても、経営革新等支援機関(税理士など)による「企業評価書」を作成し、今後3〜5年で経営が改善される合理的な計画を提示できれば、入管の在留資格審査を通過させることができます。

Q2:企業評価書は自社の総務人事や財務担当者が自分で作成することはできますか?

A2:原則としてできません。入管へ提出する企業評価書は、第三者としての客観的かつ技術的な専門評価が求められるため、中小企業庁に認定された「経営革新等支援機関(税理士、公認会計士、診断士、金融機関など)」による記名・押印が必要です。

Q3:税金や社会保険料を分納(分割払い)している状態ですが、申請に影響はありますか?

A3:滞納がある状態での申請は極めて困難です。ただし、自治体や税務署から正式に「納税の猶予」や「分納の許可」を得ており、計画通りに支払われていることを証明する書類(納税証明書や猶予通知書など)を提出できれば、例外的に認められる場合があります。事前に専門の行政書士に相談することをお勧めします。

Q4:債務超過のホテルが特定技能を雇用する場合、最低賃金より低い給与を設定することはできますか?

A4:絶対にできません。特定技能外国人には、「日本人が同等の業務を行う場合と同等以上の給与」を支払うことが法律(出入国管理及び難民認定法)で義務付けられています。財務改善のために人件費を不当に低く抑えるような計画は、入管から即座に却下されます。

Q5:企業評価書を作成する費用はどのくらいかかりますか?

A5:依頼する税理士や中小企業診断士、サポートする行政書士によって異なりますが、一般的には10万円〜30万円程度が実務的な相場です。これに加えて通常の特定技能ビザ申請費用(行政書士報酬など)が発生します。

Q6:観光庁の予算要求で、特定技能に関わるような補助金やサポート制度はありますか?

A6:はい。観光庁の令和9年度(2027年度)予算要求における「観光地・観光産業における人材育成等推進事業」では、宿泊分野の人材確保・定着に向けた魅力発信や育成環境の整備、DXによる労働生産性の向上支援が盛り込まれています。これら政府の支援事業や補助金スキームを活用し、自社の受入体制整備コストを軽減できる可能性があります。

Q7:特定技能外国人が「赤字の会社だから不安だ」と途中で辞めてしまうことはありませんか?

A7:そのリスクはあります。特定技能外国人は自由に転職できるため、自社の経営不安を感じたり、労働環境に不満を持ったりすると離職につながります。そのため、単に採用するだけでなく、業務の標準化(SOPの整備)や、社内キャリアパスの可視化を同時に行うことが定着の鍵となります。まずは以下の記事で「採用の常識」を見直してみるのも効果的です。

【深掘り推奨記事】
ホテル人手不足は「給与」が原因じゃない?総務人事が見直す採用の常識

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